2025年 第6回渡邉利三国際奨学金
海外留学助成対象者のご紹介

渡邉利三国際奨学金は、海外の大学・研究機関で学びたいという高い志を持つ方々の生活費を支援する制度です(給付型:返済義務なし)。2024年11月~2025年2月において募集された第6回渡邉利三国際奨学金事業において、応募総数102名の中から、12名の留学研究者が採択されました。
当財団の選考委員長である多氣 昌生 先生(東京都立大学 名誉教授)の選考結果コメントや助成対象者のコメント動画等をご紹介させていただきますので、ぜひご覧ください。

第6回渡邉利三国奨学金
選考結果コメント
東京都立大学名誉教授
選考委員長

多氣 昌生

第6回 渡邉利三国際奨学金
海外留学助成対象者
助成総額2,220万円

  • 01

    長谷部 雅士

    京都大学大学院 医学研究科
    糖尿病・内分泌・栄養内科学


    長谷部 雅士

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    研究テーマ

    大規模ヒトゲノムデータを用いた
    糖尿病合併症の治療標的探索とその応用

    留学先:マギル大学(カナダ)

    この度は、栄誉ある渡邉利三国際奨学金に採択いただき、心より感謝申し上げます。私は内科医として主に内分泌・代謝疾患の診療に携わった後、2024年に京都大学とカナダ・マギル大学の共同学位課程に進学し、2025年4月よりマギル大学へ留学しております。糖尿病をはじめとした慢性代謝疾患は病態が多様で複雑であり、ビッグデータを活用した精緻な病態解明を通して、個々の病態に応じた治療標的を確立することが求められています。今回の留学では、大規模なオミクスデータを活用した強力な因果解析手法であるメンデルランダム化解析を駆使して、様々な病態の糖尿病において合併症の発症を因果的に媒介する血中タンパクの同定を試みます。本奨学金のご支援のもと、糖尿病によって合併症が発症・進行する機序や、個々の患者ごとに合併症の進行速度が異なる原因について新たな知見を得て、医学・医療の発展に貢献できるよう努めて参ります。

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  • 02

    竹中 淳規

    北海道大学病院
    核医学診療科


    竹中 淳規

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    研究テーマ

    褐色細胞腫・傍神経節腫の病態解明:
    ノルアドレナリントランスポータと核医学の可能性

    留学先:ヴュルツブルク大学病院(ドイツ)

    この度は第6回渡邉利三国際奨学金の給付対象者として選出いただき、大変光栄に存じます。私は北海道大学病院で核医学診療科の医師としてこれまで臨床、研究に取り組んでまいりました。核医学とは様々な放射性医薬品を投与することにより、診断および治療を行う医学分野のことで、昨今、世界的にも注目されています。
    これまで私は褐色細胞腫・傍神経節腫に関する研究に取り組んでまいりました。褐色細胞腫・傍神経節腫はカテコラミン産生を特徴とする希少がんで、この疾患における診断、治療には核医学が非常に重要な役割を果たしています。
    このたび、ヴュルツブルク大学で核医学の研究に取り組む機会を得ました。日本では未導入のイメージングにより褐色細胞腫・傍神経節腫の病態解明に関する研究を行いたいと考えております。次世代の日本の核医学を担う研究者・臨床医を目指し精進してまいります。

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  • 03

    岩田 樹里

    慶應義塾大学病院
    循環器内科


    岩田 樹里

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    研究テーマ

    重症三尖弁閉鎖不全症に対する
    経皮的三尖弁留置術の短期成績及び長期的臨床経過

    留学先:クリニク・パストゥール(フランス)

    このたびは渡邉利三国際奨学金に採択いただき、誠にありがとうございます。私は2025年11月より、フランス南西部にあるトゥールーズでカテーテル弁膜症インターベンションの臨床および臨床研究のための留学に出発させていただくことになりました。このような奨学金ご支援をいただき、留学という夢をかなえることができましたこと、心より感謝申し上げます。大動脈弁狭窄症に対するインターベンションであるTAVIはすでに日本でも広まっておりますが、これは2002年にフランスで始まった画期的治療方法です。現在は三尖弁や僧帽弁といった様々な弁膜症に対する弁置換術が低侵襲であるインターベンションで可能となりつつあり、私はそれらの治療技術を習得し、そして安全に日本に導入していくことを目標に、研究にも励んで参ります。日本の医療を発展させるべく、覚悟を決めて単身渡仏して参りますので、今後ともご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

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  • 04

    山口 颯太

    東京大学 大学院理学系研究科
    生物科学専攻 遺伝学研究室


    山口 颯太

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    研究テーマ

    樹齢1000年を超えるオーク古木を用いた
    セントロメアの個体内進化・多様性の解明

    留学先:ケンブリッジ大学(イギリス)

    ケンブリッジ大学に留学する山口颯太です。渡邉利三国際奨学金に採択していただき、心から感謝しております。私は、セントロメアという染色体分配に重要なゲノム領域について研究しています。セントロメアは真核生物で広く保存された機能を持つにも関わらず、進化が速く種間・種内でも多様性が大きいことが報告されています。この矛盾は「セントロメアパラドクス」と呼ばれている重要な未解決問題です。セントロメアは反復配列を持つため、DNA配列の解読が難しかったのですが、近年、ロングリードDNAシークエンスという技術の発展により詳細な解析が可能になりました。留学先では、ロングリードDNAシークエンスを活用し、1000年を超える寿命を持つオークの古木を材料に、同一個体内でのセントロメアの進化を検証します。個体内多様性という新たな観点から、なぜセントロメアの進化が速いのか?を解明します

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  • 05

    上田 唯花

    大阪大学 大学院基礎工学研究科 機能創成専攻


    上田 唯花

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    研究テーマ

    がん化プロセス解明を目的とした細胞分裂における
    アクチン皮質の定量解析法開発

    留学先:ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(イギリス)

    この度は、第6回渡邉利三国際奨学金にご採択いただき、誠にありがとうございます。 私はこれまで生体細胞が有する力学的適応機能に注目した研究を行って参りました。留学先である英国University College Londonでは、細胞が内外の環境に応じて分裂機構を適応的に制御するメカニズムについて研究を行います。生命システムの最小単位である細胞の分裂制御は、より高次な組織全体の形態形成や機能維持に重要な役割を担う一方で、その異常はがん化プロセスにおける根本原因の一つとされています。本留学では、当該分野で世界をリードする研究グループにて、生物学・工学・物理学を融合させ実験と理論計算の双方からアプローチすることにより、生命システムが有する多階層的な分子・力学的相互作用を包括的に理解し、細胞分裂の統合的なメカニズム解明に挑戦します。また多様な分野におけるグローバルネットワークを構築し、研究を通じた社会発展に貢献できるよう励んで参ります。

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  • 06

    住谷 隆輔

    順天堂大学医学部
    呼吸器外科学


    住谷 隆輔

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    研究テーマ

    GSTO2を介した幹細胞制御機構の解明

    留学先:トロント大学(カナダ)

    この度は、第6回渡邉利三国際奨学金に採択いただき誠にありがとうございます。私は世界で初めて肺移植を成功させ、呼吸器分野で世界を先導するトロント大学で肺上皮再生のメカニズム解明を目的とした研究を行います。慢性閉塞性肺疾患や特発性間質性肺炎は呼吸機能が低下するのみならず、発癌のリスクが高いことも知られています。これらの疾患を合併する肺癌患者さんは呼吸機能が不可逆的に低下しているため、外科的治療や化学療法を含めた治療選択肢が非常に狭まってしまうことが大きな問題です。慢性閉塞性肺疾患や特発性間質性肺炎における呼吸機能低下を抜本的に改善し、これらの慢性肺疾患に合併する発癌リスクを低下・治療適応を拡大するために、呼吸器に特徴的な幹細胞制御機構、更には異なる幹細胞間の可塑性を制御する分子機構解明を目指します。

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  • 07

    岡村 拓郎

    京都府立医科大学 大学院医学研究科 内分泌代謝内科学


    岡村 拓郎

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    研究テーマ

    腸管エピゲノム変化に着目した耐糖機能障害発症メカニズムの解明

    留学先:ジョスリン糖尿病センター(アメリカ)

    このたび渡邉財団様のご支援を賜り、米国ジョスリン糖尿病センターにて行う研究留学をより充実したものとする機会を得ることができました。私は現在、欧米型の食生活に起因する腸内環境の変化が、腸管上皮細胞におけるエピゲノム修飾を介して耐糖能障害を引き起こすという仮説に基づき、次世代シークエンシング技術を活用しながら、その詳細な分子機構の解明に取り組んでいます。留学先では、エピゲノム研究の国際的権威であるPatti教授の指導のもと、腸管における糖代謝調節メカニズムを包括的に理解することを目指しています。将来的には、そこで得た知見をもとに新たな糖尿病治療薬の開発を進め、臨床医としての知見も活かして、基礎と臨床をつなぐ橋渡し研究を推進し、日本の糖尿病医療と学術の発展に貢献したいと考えています。今回の留学を通じて、国際的な連携を深め、より広い視野で医学研究の未来に挑んでまいります。

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  • 08

    青山 幸恵子

    東京大学 大学院工学系研究科
    化学生命工学専攻 神経細胞生物学研究室


    青山 幸恵子

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    研究テーマ

    超解像顕微鏡sptPALMを用いた小胞体
    ―ミトコンドリア接触場形成の分子動態解明

    留学先:ケンブリッジ大学(イギリス)

    この度は第6回渡邊利三国際奨学金奨学生にご採択いただき、誠にありがとうございます。私は2025年10月よりイギリスのケンブリッジ大学にて研究を開始する予定です。私の研究では、細胞内小器官(オルガネラ)であるミトコンドリアと小胞体が物理的に近接した「接触場」を形成するメカニズムとその機能制御の解明に取り組んでいます。オルガネラの作る接触場は非常に微細かつ動的な構造であり、その観察には高解像度かつ高速撮影が可能な最先端の顕微鏡技術が不可欠です。当初はアメリカにて超解像顕微鏡技術sptPALM法を学ぶ予定でしたが、アメリカ国内の情勢変化により渡航が困難となりました。しかし本奨学金のご支援により、類似の観察手法を有するケンブリッジ大学の研究室にて研究を行う目処が立ちました。留学先にて細胞生物学分野の最先端に触れ、自身の研究のさらなる発展に繋げたいと考えております。

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  • 09

    清水 裕真

    京都大学大学院 工学研究科
    社会基盤工学専攻


    清水 裕真

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    研究テーマ

    粒子法型微分演算子モデルの数学的一貫性の証明と
    流体-地盤連成計算への応用

    留学先:ケンブリッジ大学(イギリス)

    この度は渡邉利三国際奨学金にご採択いただき、心より感謝申し上げます。京都大学大学院工学研究科助教の清水裕真と申します。2025年5月より英国ケンブリッジ大学に留学しております。
    私はこれまで流体の数値シミュレーションに応用される粒子法について研究を行ってきました。今回の留学では、これまで慣習的に使われてきた微分演算モデルを数学的に再考し、その活用の妥当性・一貫性に関して理論的裏付けを与えモデルの信頼性と理論基盤の強化を図ります。さらに、こちらの大学が強みを持つ土の数値モデリングに関する知見を自身の流体計算法と組み合わせ、防災課題解決のための連成計算技術の確立を目標にしています。
    多様性に富む環境での研究活動を通じて国際的な人脈を広げ、帰国後にはその経験とネットワークを活かし、国際的視野を持つ後世の人材育成と我が国の技術発展に貢献できるように尽力したいと考えております。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

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  • 10

    半田 悠

    北海道大学 遺伝子病制御研究所
    分子神経免疫学分野


    半田 悠

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    研究テーマ

    小胞体関連タンパク質分解(ERAD)における基質特異性に関する研究

    留学先:オックスフォード大学(イギリス)

    この度は、第6回渡邉利三国際奨学金に採択いただきまして、大変光栄なことと存じます。
    私は、2025年9月より英国Oxford大学Sir William Dunn School病理学研究所にて、Prof. Pedro Carvalhoの元でvisiting Postdoctoral Researcherとして研究活動をしております。そこでは、小胞体関連タンパク質分解経路(ERAD)における膜タンパク質の認識機構の解明をめざし、古典的な生化学技術と最新のゲノム工学を組み合わせた実験系を用いた解析を行っています。私の背景としては、博士課程から数年間、癌の悪性度進展に関するシグナル伝達機構の理解に励み、その後は上皮間葉転換とミトコンドリア機能の関連およびミトコンドリアタンパク質のトポロジーに興味を移しつつ、所属研究室のメインテーマであった神経免疫に関して生理学的なスケールで取り組んでいました。今回は、細胞生物学が主体の研究室に身を移し、これまで知見を養ってきた疾患や生理学的な現象の解明に必要となるであろうメカニズムの理解に邁進したいと考えています。また、研究はもとより、国際社会での人脈形成を通し、広く社会に貢献できればと考えています。

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  • 11

    安田 聖

    大阪大学医学系研究科
    保健学専攻


    安田 聖

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    研究テーマ

    がん特異的バイオマーカーを標的とした
    ラジオセラノスティクス技術開発

    留学先:ヴュルツブルク大学(ドイツ)

    この度は第6回渡邉利三国際奨学金にご採択いただき、誠にありがとうございます。私は2025年9月よりドイツヴュルツブルク大学核医学・総合心臓病センターにて、がん特異的バイオマーカーを標的としたラジオセラノスティックス技術の開発をテーマに研究活動を行います。ラジオセラノスティックスは診断と治療を融合する革新的な技術である一方で、放射性薬剤の選定や安定性など臨床応用には多くの課題が残されています。ヴュルツブルク大学ではこれらの課題解決に向けた前臨床研究が世界最先端で進められており、世界に先駆けて臨床への応用も進んでいます。私は留学を通じて、担癌モデルマウスや幹細胞移植モデルを用いて新規放射性薬剤の評価研究に取り組み、ラジオセラノスティックス技術の実用化に向けて、多角的な視点で研究に取り組みたいと考えております。国際的な研究力を培い、将来は核医学の発展と個別化医療の実現に貢献できるよう尽力してまいります。

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  • 12

    立花 卓遠

    東京大学 大学院工学系研究科
    電気系工学専攻


    立花 卓遠

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    研究テーマ

    グラフェン熱音響スピーカーを用いたアクティブセンシング技術の確立

    留学先:清華大学(中国)

    東京大学大学院工学系研究科染谷研究室に所属しております、立花卓遠と申します。このたびは、渡邉利三国際奨学金にご採択いただき、誠にありがとうございます。
    近年、包括的な医療や専門医による診断に加え、ユーザー自身が操作可能な、持続的かつ非侵襲的な健康モニタリング技術が注目を集めています。私の専門であるフレキシブルエレクトロニクスは、こうした技術の実現において重要な役割を果たす分野です。これまで私は、染谷研究室にて摩擦帯電型の音響素子の研究に取り組んでまいりました。今回ご支援いただく清華大学への留学では、2次元材料の応用において国際的に高く評価されているRen研究室を訪問し、グラフェンを用いた音響素子の研究に取り組む予定です。アクティブセンシングの新たな可能性を模索するとともに、アジア圏の研究者とのネットワークを築き、本分野における国際的な共同研究の推進にも貢献してまいりたいと考えております。

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